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測れないものは、なかったことにされる ― PSYCHO-PASSとバカの壁【養老孟司×アニメ哲学 #2】

測れないものはなかったことにされる - PSYCHO-PASSとバカの壁【養老孟司×アニメ哲学】 アニメレビュー

仕事の現場では、判断の基準があると助かります。
数字、評価、基準値。
それらは物事を分かりやすくしてくれます。

ただ、その一方で、数字にできないものは、評価の外に置かれがちです。

努力の過程。
気づかれない配慮。
迷いながら下した判断。

📺 PSYCHO-PASS サイコパスの世界
人の心が数値で測られます。
測れるものだけが、判断の対象になります。

合理的で、管理しやすい社会。
でもそこでは、測れないものが最初から存在しない扱いを受けます。

養老孟司氏が語る「バカの壁」は、まさにこの構造と重なります。

理解できないものは否定されるのではなく、
見えないものとして処理される

🔍 シビュラシステムという完全管理社会

アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』の舞台は、近未来の日本です。

そこでは、シビュラシステムという巨大なAIが、人々の心理状態を常時スキャンし、数値化しています。

💻 シビュラシステムとは

  • 犯罪係数: 犯罪を犯す可能性を数値化
  • 色相(HUES): 心理状態を色で表示
  • 適性判断: 職業適性を数値で決定
  • 完全管理: すべての市民を24時間監視

このシステムのおかげで、犯罪は激減し、社会は平穏を保っています。

合理的で、効率的で、誰にでも分かりやすい。
一見、完璧な社会に見えます。

シビュラシステム - 心を数値で測る完全管理社会【PSYCHO-PASS】

心を数値で測る社会

⚠️ 測れないものは”なかったこと”になる

しかし、この完璧に見える社会には、大きな問題があります。

それは、測れないものが、最初から存在しない扱いを受けることです。

🚫 シビュラが測れないもの

  • 犯罪係数に表れない「悪意」
  • 数値化できない「正義」
  • ストレス数値に出ない「内面の葛藤」
  • 適性判断に含まれない「本人の希望」

作中では、「免罪体質者」という存在が登場します。

どんなに残虐な行為をしても、犯罪係数が上がらない人間。
シビュラには「測れない」ため、システムは彼らを正常だと判断してしまいます。

「測定できないものは、
判断の対象にならない」― PSYCHO-PASS サイコパス

これこそが、養老孟司氏が『バカの壁』で指摘した構造そのものです。

人は、見えないものを”理解しない”のではなく、最初から”見ない”のです。

測れないものは存在しない扱い - 数値化社会の盲点

見えるもの / 見えないもの

🚛 現場で起きる”測れないもの”の排除

現実の仕事でも、似た感覚はないでしょうか。

運送業界で35年働いてきた中で、私はこの「測れないものの排除」を何度も経験してきました。

📊 現場で測られるもの

  • 配送件数 → 何件配達したか
  • 達成率 → 予定通りに終わったか
  • クレーム件数 → 問題は起きたか
  • 売上金額 → どれだけ稼いだか

これらは、確かに大切な指標です。
でも、これだけで評価が決まるとしたら?

🙈 見えない努力

  • お客様への細やかな配慮(荷物の置き方、声かけ)
  • 後輩ドライバーへのアドバイス(数字に出ない育成)
  • 安全運転のための”余裕”(効率を下げても事故を防ぐ判断)
  • 迷いながら下した判断(正解が分からない中での選択)

これらは、測れないものです。

だから、評価の対象にならない。
場合によっては、「なかったこと」にされる。

現場で起きる数値化の限界 - 評価されない努力と配慮

現場で起きる、見えない排除

🧠 選択理論から見た「測定できない価値」

青木仁志氏の選択理論では、人間関係の質を高めるために「内部コントロール」の考え方が重要だと説いています。

しかし、内部コントロールの実践で大切な要素は、ほとんどが「測れないもの」です。

💚 内部コントロールの要素(測れないもの)

  • 聴く → どれだけ真剣に聴いたか、数値化できない
  • 支援する → 支援の”質”は測れない
  • 励ます → 励ましの”温度”は測定不能
  • 信頼する → 信頼度を数値にできない

つまり、人間関係の本質は、測定不可能なのです。

もし職場が「数字だけ」で動くようになったら?
PSYCHO-PASSのシビュラシステムのように、
測れないものが”存在しない扱い”を受けるようになったら?

それは、人間関係そのものが消えることを意味します。

⚖️ 合理性の光と影

ここまで読んで、「じゃあ合理性は悪なのか」と思われたかもしれません。

そうではありません。

合理性は私たちを助けてくれます。
数値化できるからこそ、改善できることもあります。

✅ 合理性が助けてくれること

  • 判断がしやすくなる
  • 改善点が見える
  • 説明がしやすい
  • 効率が上がる

⚠️ 合理性だけでは見えないもの

  • 人の感情
  • 関係性の質
  • 迷いや葛藤
  • 配慮や気遣い

大切なのは、どちらか一方ではなく、両面を見ることです。

数字は確かに便利。
けれど、数字だけに頼ったとき、何がこぼれ落ちているのか

それに気づけるかどうかが、
この壁に飲み込まれるかどうかの分かれ道なのかもしれません。

合理性の光と影 - 助けにもなり、盲点にもなる【PSYCHO-PASS×バカの壁】

合理性の光と影

📺 配信・視聴方法

🎬 PSYCHO-PASS サイコパス

配信サービス:
U-NEXTAmazonプライムビデオdアニメストアNetflix など

シリーズ構成:
• 第1期(全22話)
• 第2期(全11話)
• 第3期(全8話)
• 劇場版 3作品

※配信状況は変更される場合があります。最新情報は各サービスでご確認ください。

📖 養老孟司『バカの壁』

養老孟司著、新潮新書(2003年)
Amazon、楽天ブックス、書店などで購入可能

🌟 まとめ

PSYCHO-PASSのシビュラシステムは、極端な例かもしれません。

でも、現実の職場でも、似たようなことは起きています。

💡 この記事のポイント

  • 測れないものは、”なかったこと”にされがち
  • 合理性は助けてくれるが、盲点も作る
  • 人間関係の本質は、測定不可能
  • 両面を見ることが、壁を超える鍵

次回は、「魔女の旅々」を通して、
善意が踏み込めない場所について考えます。

📖 この話は、シリーズ全体の一部です。


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✍️ この記事を書いた人

トモシー(大﨑智洋)

トモシー(大﨑智洋)プロフィール画像 - 35年のプロドライバー

🚛 運送業35年のプロドライバー | 🏆 ゴールド免許10年以上連続保持

📝 「トラックドライバーのアニメ哲学」ブログ運営者

現場で「怒鳴られて育った世代」から「対話で育てる世代」への転換期を経験。青木仁志の選択理論
と出会い、外部コントロールから内部コントロールへの実践を開始。

「アニメの哲学」「現場の知恵」を掛け合わせ、働く大人(20-50代)のキャリアと人生を応援するブログを運営中。
📊 実績:
• 運送業35年のキャリア(大型トラック運転手として現場を経験)
• 過去10年以上、無事故無違反でゴールド免許を連続保持中
• 選択理論を現場で実践し、後輩育成に活用
• 松下幸之助・田中角栄・空海などの教えを現代に応用

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💬 「アニメの教えで、現場が変わる。働き方が変わる。人生が変わる。」

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