なぜ尊敬される経営者は生まれにくいのか――利己的リーダーが蔓延る現場への問い
物流現場で36年以上働いてきた私は、数え切れないほどのリーダーを見てきました。その中で、本当に尊敬される経営者と呼べる人は、驚くほど少なかったのが正直な実感です。なぜ、利己的なリーダーばかりが目立ち、徳を持った経営者が育ちにくいのか。この問いは、現場で汗を流す一人ひとりにとって、決して他人事ではありません。
Thank you for reading this post, don't forget to subscribe!本記事では、青木仁志さんの教えを軸に、「徳→信用→人→組織→富」という流れを明示しながら、なぜ徳を基盤としたリーダーシップが組織を育てるのかを考察します。10年以上にわたる無事故・無違反の安全運転実績を持ち、運行管理者資格・フォークリフト免許・大型車免許を保有する私が、現場で学んだ失敗と教訓を交えながら、あなたの職場でも実践できる具体的な方法をお伝えします。
あなたは今、職場のリーダーに対してどのような思いを抱いていますか。もし「この人についていきたい」と心から思えるリーダーに出会えていないなら、この記事があなた自身のリーダーシップを見つめ直すきっかけになるかもしれません。
『月が導く異世界道中』に見る、恩を先に差し出す生き方
『月が導く異世界道中』は、異世界に転生した主人公・深澄真(ミスミ)が、持ち前の穏やかな性格を活かしながら、出会う人々に見返りを求めず手を差し伸べていく物語です。派手な下克上や成り上がりの物語とは一線を画し、深澄が誰かを助けること自体に損得を持ち込まない姿が、じわじわと周囲からの信頼を積み重ねていく過程を丁寧に描いています。
物語序盤、深澄は困っている大商会をさりげなく助けます。その時に彼がつぶやくのが「恩は売っておくものだなぁ~、ものすごくスムーズに話が進んでしまった…」という言葉です。一見打算的にも聞こえますが、深澄の行動原理はあくまで「先に与える」こと。損得の計算から動いたわけではなく、困っている人を放っておけなかった結果として、後から自然と信頼が返ってきたに過ぎません。実際、別の場面で彼は「せっかく呪病から解放されたのに、恩に縛られるような生き方は意味がありません」とも語っており、恩着せがましさとは無縁の人物であることが分かります。
この「先に徳を差し出し、その結果として信用が後からついてくる」という順序は、これから紹介する青木仁志さんの「徳→信用→人→組織→富」という思想の流れと、驚くほど重なります。そして同時に、この順序を逆にしてしまう――つまり信用や見返りを先に求めてしまう――ことが、利己的な行動として周囲から見透かされてしまう理由でもあるのです。
なぜ今、徳を起点としたリーダーシップが求められるのか
現代の職場環境は、かつてないほど複雑化しています。物流業界に限らず、多くの現場で短期的な成果を求められ、数字だけで評価されるリーダーが増えています。私が運送業に携わり始めた頃と比べると、人を育てる余裕がなくなり、目の前の利益を追いかけるだけのリーダーが目立つようになりました。
利己的なリーダーが蔓延る背景には、いくつかの構造的な問題があります。まず、成果主義の浸透によって、短期的な数字を上げた人が評価される仕組みが強化されました。次に、人手不足が深刻化し、じっくりと人を育てる時間的・精神的な余裕が失われています。さらに、SNSやインターネットの普及により、表面的な成功事例ばかりが拡散され、地道な徳の積み重ねが見えにくくなっています。
しかし、このような時代だからこそ、徳を起点としたリーダーシップの価値が際立つのです。利己的なリーダーのもとでは、部下は指示に従うだけの存在になり、主体性を失います。一方、徳を持つリーダーのもとでは、部下は自ら考え、行動し、組織全体が活性化します。この違いは、長期的に見れば組織の存続そのものに関わる重大な問題なのです。
利己的リーダーが組織にもたらす負の連鎖
利己的なリーダーは、自分の評価や利益を最優先に考えます。部下の成長よりも自分の成果を重視し、失敗があれば部下のせいにし、成功があれば自分の手柄にする。このような行動パターンは、組織に深刻な負の連鎖をもたらします。
まず、部下の信頼を失います。信頼を失ったリーダーのもとでは、部下は本音を言わなくなり、問題が隠蔽されやすくなります。次に、優秀な人材が離れていきます。徳のないリーダーのもとで働き続けることに意味を見出せなくなった人から順に、組織を去っていくのです。そして、残った人材のモチベーションも低下し、組織全体のパフォーマンスが落ちていきます。
私は物流現場で、このような負の連鎖を何度も目撃してきました。一時的に数字を上げたリーダーが、数年後には部下の離職や事故の多発によって、結局は成果を出せなくなる。その繰り返しを見るたびに、徳を持たないリーダーシップの限界を痛感してきたのです。
青木仁志に学ぶ「徳→信用→人→組織→富」の思想
青木仁志さんは、選択理論を基盤とした人材育成の第一人者として知られています。彼の教えの核心は、「怒るのではなく対話で育てる」という姿勢にあります。これは単なるコミュニケーション技術ではなく、リーダーとしての根本的なあり方を問う思想です。
青木さんの考え方を私なりに解釈すると、「徳→信用→人→組織→富」という流れが見えてきます。まず徳があることで信用が生まれ、信用があることで人がついてくる。人がついてくることで組織が形成され、組織が機能することで富が生まれる。この順序を逆にすることはできません。
人は、自分を大切にしてくれる人についていく。リーダーの仕事は、部下を管理することではなく、部下の可能性を信じて引き出すことだ。
この言葉は、青木仁志さんの思想を端的に表しています。利己的なリーダーは、部下を自分の目標達成のための道具として扱います。しかし、徳を持つリーダーは、部下一人ひとりの成長を心から願い、そのために自分の時間と労力を惜しみなく注ぎます。
徳とは何か――現場で問われる人間性
徳という言葉は抽象的に聞こえるかもしれません。しかし、現場で働く私たちにとって、徳は非常に具体的なものです。それは、約束を守ること、嘘をつかないこと、困っている人を助けること、自分の失敗を認めること、部下の手柄を横取りしないこと。これらの一つひとつが、徳の具体的な表れなのです。
青木さんは、リーダーの人間性が組織の文化を決定すると説いています。リーダーが誠実であれば、組織も誠実になる。リーダーが利己的であれば、組織も利己的になる。この単純な真理を、私は36年以上の現場経験を通じて何度も確認してきました。
徳を持つことは、決して特別な才能ではありません。日々の小さな選択の積み重ねです。目の前の利益よりも長期的な信頼を選ぶこと。自分の都合よりも部下の成長を優先すること。これらの選択を繰り返すことで、徳は少しずつ培われていくのです。
信用の構築――言葉と行動の一致
徳があっても、それが行動として表れなければ信用は生まれません。信用とは、言葉と行動が一致していることへの評価です。「部下を大切にする」と言いながら、実際には部下の意見を聞かないリーダーは、信用を得ることができません。
青木さんの選択理論では、人は外部からの強制ではなく、内発的な動機によって行動を変えると考えます。つまり、リーダーが部下を怒鳴りつけて従わせても、それは本当の意味での行動変容ではないのです。部下が自ら「このリーダーについていきたい」と思うとき、初めて組織は一つになります。
信用を築くためには、時間がかかります。一度の大きな行動よりも、日々の小さな約束を守り続けることが重要です。「明日までに確認します」と言ったら、必ず明日までに確認する。「あなたの意見を聞きます」と言ったら、本当に耳を傾ける。これらの積み重ねが、揺るぎない信用を築いていくのです。
物流現場36年の経験から学んだ徳の実践
私は運送業36年目を迎えます。10年以上にわたる無事故・無違反の安全運転実績を持ち、運行管理者資格・フォークリフト免許・大型車免許を保有しています。現在はFS Logistics Corporation所属で、親会社の物流現場でフォークリフト運転手として、荷受けや誰もやりたがらない雑務、そこに関わる人たちを支える仕事に従事しています。
この長い年月の中で、私は多くの経験を積んできました。その中でも特に印象に残っている出来事が三つあります。一つは、現在の事業所で利己的な上司の下で働いている、今なお進行中の経験。もう一つは、同僚との関わりの中で、自分自身の考え方を見つめ直すことになった経験。そしてもう一つは、徳を持つリーダーに出会えなかった私が、自分なりに考えを積み重ねてきた経験です。
利己的なリーダーの下で学んだ反面教師
現在の事業所(営業所)は、立ち上げ当初から私が所属してきた職場です。今の上司は、社長の旧友——以前一緒に働いていた職場の同僚だった人物です。その方が営業所の所長に就任した際、「有給休暇の取得に際しての注意」という文書が出されました。その内容を目にしたとき、私には思うところがありました。この時に感じた違和感は、今も消えずに残っています。
そこには、数字を上げることだけを重視し、部下の体調や家庭の事情には一切配慮しないとも読み取れるような内容が盛り込まれていました。以来、事業所内の雰囲気は徐々に悪い方向へと変化していきました。
現代でよく言われる人手不足に対応するため、無理なスケジュールが組まれるようになりました。その結果、法律違反に抵触するかしないかというギリギリの状態にまで追い込まれることもあります。結果は、想像していただければわかるはずです。従業員たちのモチベーションは次第に下がり、「改善してほしい」という期待と「もう変わらないだろう」という諦めが絡み合うようになっていきました。
上司自身もまた、孤立していきました。実際、今の上司は日常的な会話もほとんどなく、一人孤立しているような状態にあります。営業所が立ち上がり、上司が就任した当時から振り返ると、今の状況はまさに破綻寸前と言っていいのではないでしょうか。
この経験——というより、今も進行中のこの状況——から見えてくるのは、短期的な成果を追い求めることの危険性です。人を大切にしないリーダーは、一時的に数字を上げることができても、長期的には必ず破綻する。そういうことなのだと思います。
自分自身の失敗から学んだ徳の重要性
数年前のことです。現在の親会社の現場作業員という仕事に就く前、まだドライバー職だった頃の話です。営業所の立ち上げ当初から関わっていた私は、業務全体を見渡した自分なりの考え方を、同僚に対して押しつけるような言い回しをしていたように感じます。「できるだけ早く業務をこなすように」「時間を守り、スケジュール通りに行動してください」。当時は、相手の立場に立って言っているつもりでした。
しかし今振り返ると、それは自分の考え方を一方的に押しつけていただけだったのかもしれません。相手の行動を推測してみると、そこには利己的な考え方も透けて見えます。上司の命令に忠実に従った結果なのか、命令を自分に都合よく解釈した結果なのか、それとも上司に認められたい一心での行動だったのか――理由は一つではないでしょう。当時の私は「相手の立場になって」と考えていたつもりでしたが、行動そのものからは、もっと多くのことを読み取れるのだと、今なら分かります。
現在では、それぞれの人なりのやり方があるので、口を出すことはしません。ただ、その頃から現在に至るまで、周囲の同僚たちから、同じ仕事に就いている複数の人について良くない話を耳にすることがあります。「徳」のない利己的な行動は、結局のところ「得」としてしか受け取られないのだと、つくづく感じます。
そして、そうした行動を重ねている人ほど、周囲の同僚から距離を置かれているようにも見えます。利己的な行動を積み重ねた先に待っているのは、次第に孤立していく現実なのだと、私はこの目で見てきました。
徳を持つリーダーに出会えなかった私が、模索してきたこと
正直に言うと、徳を持つリーダーの下で働いた経験は私にはありません。だからこそ、自分なりの考察や、青木仁志さん、丸尾孝俊さんなどの動画を参考にしながら、自分自身の考え方に間違いがないかを修正し続けてきました。もちろん、松下幸之助翁や稲盛和夫翁、その他の偉人たちの教えに沿って、考えを改めてきてもいます。
そんな私が今、口にすることの中に「失敗して見ろ」という言葉が、ごく自然な言葉として出てきます。私の考えでは、「失敗」を経験することで「経験値」が増えます。対応の仕方が学べます。「失敗」したときの感覚が身につきます。結果として「失敗」は人を成長させるのです。「失敗」による問題が起きたときも、犯人探しをするのではなく、「どうすれば同じことが起きないか」を一緒に考えることができるようになります。
一緒になって現場に立つことで、現場に携わる人たち全員が自分たちの意見を言いやすい雰囲気へと変化していきます。それを「徳」と言うべきものなのかは、私自身にもわかりません。その過程を業績として測ることもできません。私はリーダーとしてふさわしいとは感じていませんが、これは「体」と「智」を表現しているものだと、私は感じています。
信頼できるとは、どのような感覚なのでしょうか。「失敗」の先の対応ができる人にこそ、信頼が生まれるのではないでしょうか。
あなたの職場で徳を実践するために
ここまで、徳を起点としたリーダーシップの重要性について述べてきました。しかし、理論を知っているだけでは意味がありません。大切なのは、あなた自身の職場で、今日から実践することです。
徳を実践するために、特別な地位や権限は必要ありません。たとえあなたがリーダーの立場になくても、日々の行動の中で徳を積み重ねることはできます。むしろ、リーダーでない立場だからこそ、純粋な動機で徳を実践できるとも言えるのです。
職場で信頼を築くための具体的な行動
まず、約束を守ることから始めましょう。「後で連絡します」と言ったら、必ず連絡する。「確認しておきます」と言ったら、必ず確認する。これらの小さな約束を一つひとつ守ることが、信頼構築の第一歩です。
次に、相手の話を最後まで聞くことを心がけてください。途中で遮ったり、自分の意見を押し付けたりせず、まずは相手が何を言いたいのかを理解しようとする姿勢が大切です。これは、青木さんの選択理論における「対話で育てる」という考え方にも通じます。
そして、失敗を認める勇気を持ちましょう。自分の失敗を隠したり、他人のせいにしたりするのは簡単です。しかし、正直に失敗を認め、そこから学ぼうとする姿勢こそが、周囲からの信頼を勝ち取る最も確実な方法なのです。
長期的視点で組織の成長を考える
利己的なリーダーは、目の前の数字だけを追いかけます。しかし、徳を持つリーダーは、5年後、10年後の組織の姿を見据えて行動します。今日の小さな投資が、将来の大きな成果につながることを知っているからです。
部下の育成に時間をかけることは、短期的には効率が悪いように見えるかもしれません。しかし、育てた部下が成長し、さらにその部下を育てるようになれば、組織全体の力は何倍にも膨れ上がります。これが、徳を起点とした組織づくりの本質です。
私自身、現在はフォークリフト運転手として、荷受けや雑務に従事しています。一見すると地味な仕事かもしれません。しかし、この仕事を通じて、現場で働く人たちを支えることができる。その喜びは、どんな肩書きよりも価値があると感じています。
選択理論と転生思考から見る徳の普遍性
青木仁志さんの選択理論は、人間の行動原理を深く洞察した理論です。人は外部からの強制ではなく、内発的な動機によって行動を変える。この原理を理解すれば、なぜ怒鳴りつけるリーダーシップが機能しないのかが明確になります。
選択理論によれば、人は自分の基本的欲求を満たすために行動します。愛と所属の欲求、力の欲求、自由の欲求、楽しみの欲求、生存の欲求。これらの欲求が満たされる環境では、人は自ら進んで行動します。逆に、欲求が満たされない環境では、どんなに強制しても本当の意味での行動変容は起きないのです。
徳を持つリーダーは部下の欲求を理解する
徳を持つリーダーは、部下一人ひとりの欲求を理解しようとします。ある部下は認められたいと思っているかもしれない。別の部下は自由に仕事を進めたいと思っているかもしれない。それぞれの欲求に応じた対応をすることで、部下は自ら動くようになるのです。
これは、決して部下に媚びることではありません。むしろ、部下の本質を見抜き、その可能性を最大限に引き出すための戦略的なアプローチです。徳を持つリーダーは、部下の成長を心から願っているからこそ、一人ひとりに合った関わり方ができるのです。
転生思考との接続――今日の行動が未来を創る
私がよく考えるのは、もし明日死んで生まれ変わったとしたら、今日の自分の行動をどう評価するだろうかということです。利己的な行動ばかりしていた自分を、生まれ変わった自分は尊敬できるだろうか。この問いを持つことで、日々の選択が変わってきます。
今日、部下の話を聞く時間を作ったか。今日、約束を守ったか。今日、誰かを助けることができたか。これらの小さな積み重ねが、徳を形成していくのです。そして、その徳が信用を生み、人を集め、組織を育て、最終的には富をもたらす。この流れは、どの時代、どの場所でも変わらない普遍的な真理だと私は考えています。
今日から始める徳の実践3ステップ
ここまでの内容を踏まえて、あなたが今日から実践できる具体的な3ステップをお伝えします。これらは、私自身が日々実践していることでもあります。
ステップ1:現場の声に耳を傾け、フィードバックを積極的に取り入れる
まず、周囲の人の声に耳を傾けることから始めましょう。これは、リーダーの立場にある人だけでなく、すべての人に当てはまります。同僚が何か言いたそうにしていたら、「何かあった?」と声をかける。後輩が困っている様子だったら、「手伝おうか?」と申し出る。
具体的な方法として、定期的なアンケートや面談の機会を設けることが有効です。私の場合、朝礼の後に数分間、雑談の時間を意識的に作っています。この何気ない会話の中から、現場の本音が見えてくることが多いのです。
フィードバックを受けたら、必ず何らかの形で反映することが大切です。すべての意見を採用する必要はありませんが、「あなたの意見を聞きました」という姿勢を示すことで、相手は「この人は話を聞いてくれる」と感じます。これが信頼構築の第一歩となります。
ステップ2:日々のコミュニケーションを怠らず、オープンな環境を整える
信頼を築くためには、日常的なコミュニケーションが欠かせません。特別な機会を設けなくても、日々の挨拶や何気ない会話の中で、関係性は深まっていきます。「おはようございます」の一言を、目を見て丁寧に言う。それだけでも、相手への敬意は伝わります。
オープンドアポリシーという考え方があります。これは、いつでも相談できる環境を整えるという意味です。物理的にドアを開けておくことだけでなく、心理的にも「いつでも話を聞きますよ」という姿勢を示すことが重要です。
私は、現場で作業をしながらも、周囲の様子に気を配るようにしています。誰かが困っていないか、何か問題が起きていないか。常にアンテナを張っておくことで、小さな問題が大きくなる前に対処できることが多いのです。
ステップ3:長期的視点で成長を意識し、短期的な利益に囚われない
最後のステップは、長期的な視点を持つことです。今日の小さな努力が、5年後、10年後にどのような成果をもたらすかを想像してみてください。目の前の数字だけを追いかけるのではなく、人を育て、組織を育てることに価値を見出すのです。
持続可能な成長戦略を策定し、チーム全員で共有することも重要です。「私たちはどこに向かっているのか」「なぜこの仕事をしているのか」。これらの問いに対する答えを明確にすることで、メンバー一人ひとりが主体的に行動できるようになります。
短期的な利益を犠牲にしてでも、長期的な信頼を選ぶ。この選択ができるかどうかが、利己的なリーダーと徳を持つリーダーの分かれ目です。私自身、この選択に迷うこともありますが、そのたびに「5年後の自分はどう思うだろうか」と問いかけるようにしています。
よくある質問
なぜ利己的リーダーが蔓延るのでしょうか?
利己的なリーダーが増える背景には、いくつかの構造的な要因があります。まず、成果主義の浸透により、短期的な数字を上げた人が評価される仕組みが強化されました。次に、人手不足が深刻化し、人を育てる余裕がなくなっています。さらに、表面的な成功事例ばかりが注目され、地道な徳の積み重ねが評価されにくい風潮があります。しかし、利己的なリーダーは長期的には必ず行き詰まります。部下の信頼を失い、優秀な人材が離れていくからです。だからこそ、徳を基盤としたリーダーシップの価値は、今後ますます高まっていくと私は考えています。
尊敬される経営者になるためには何が必要ですか?
尊敬される経営者になるために最も重要なのは、徳を持ち、信頼を築くことです。具体的には、約束を守ること、嘘をつかないこと、部下の意見を尊重すること、失敗を認める勇気を持つこと、そして長期的な視点で組織を導くことが求められます。青木仁志さんの言葉を借りれば、「怒るのではなく対話で育てる」姿勢が大切です。部下を管理するのではなく、部下の可能性を信じて引き出すこと。これができるリーダーこそが、真に尊敬される経営者なのです。
リーダーでなくても徳を実践できますか?
もちろんです。徳を実践するために、特別な地位や権限は必要ありません。むしろ、リーダーでない立場だからこそ、純粋な動機で徳を積み重ねることができます。同僚を助けること、約束を守ること、誠実に仕事に取り組むこと。これらの日々の行動が徳を形成し、周囲からの信頼を築いていきます。そして、その信頼が積み重なることで、いつか自然とリーダーとしての役割を任されるようになるのです。私自身、現在はフォークリフト運転手として現場を支える立場ですが、この仕事を通じて徳を実践することに大きな意義を感じています。
まとめ――徳を起点とした組織づくりの再定義
本記事では、なぜ尊敬される経営者が生まれにくいのかという問いから出発し、青木仁志さんの教えを軸に「徳→信用→人→組織→富」という流れを考察してきました。
要点を三つにまとめます。第一に、徳を持つことが信用を生み、その信用が人を集め、組織を育て、最終的には富をもたらすという順序は不変の真理です。この順序を逆にすることはできません。第二に、徳とは抽象的な概念ではなく、約束を守る、嘘をつかない、部下の話を聞くといった日々の具体的な行動の積み重ねです。第三に、徳を実践するために特別な地位や権限は必要なく、今日からあなた自身の職場で始めることができます。
利己的なリーダーが蔓延る現場で、徳を持ち続けることは簡単ではありません。しかし、だからこそ価値があるのです。あなたが徳を基盤としたリーダーシップを実践することで、周囲の人々に影響を与え、組織の文化を変えていく可能性があります。
私は運送業36年目を迎え、今もなお現場で学び続けています。10年以上の無事故・無違反実績は、決して偶然ではありません。日々の小さな選択の積み重ねが、この結果をもたらしたのです。同じように、徳を積み重ねることで、あなたも尊敬されるリーダーへの道を歩み始めることができます。
今日、あなたは何を選択しますか。目の前の利益を追いかけるのか、それとも長期的な信頼を築くのか。その選択の積み重ねが、あなた自身の徳を形成し、組織の未来を創っていくのです。
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