「話せば分かるはずだ」
そう思って説明したのに、まったく通じなかった。
そんな経験はありませんか。
相手が理解しないのは、知識が足りないからでも、努力が足りないからでもない。
むしろ、こちらが想像している以上に、見えている世界そのものが違うということがあるように感じます。
養老孟司氏の著書『バカの壁』では、人は理解できないものを「理解しない」のではなく、
最初から”見ない”という指摘がされています。
💡 養老孟司『バカの壁』の核心
見えていないものは、存在しないのと同じになる。
だから話が噛み合わない。
これは特別な人の話ではありません。
仕事の現場でも、家庭でも、日常のあらゆる場面で起きています。
📌 「話せば分かる」が通じない現実
正しい説明をすれば伝わる。
論理的に話せば理解される。
そう信じてきた人ほど、この壁にぶつかるのかもしれません。
運送業界で35年働いてきた中で、何度もこの場面に遭遇しました。
🚛 現場で起きた実例
管理職が「効率化のため、このルートで回ってくれ」と指示を出す。
しかし現場のドライバーは「このルートでは間に合わない」と返答。
管理職は「地図上では最短ルートだ」と譲らず、
ドライバーは「実際の交通量や納品先の事情を分かっていない」と感じる。
これはどちらが正しいという問題ではありません。
見えている世界が、そもそも違うのです。
管理職は「地図」と「数字」を見ている。
ドライバーは「現場の空気」と「納品先の顔」を見ている。
この違いを、養老孟司氏は「バカの壁」と表現しました。
📖 養老孟司が指摘した「見ない」という現象
『バカの壁』の中で、養老氏はこう述べています。
「人間というのは、結局自分の脳に入ることしか理解できない。
つまり、見たいものしか見ないのだ」
これは非常に重要な指摘です。
私たちは「理解できない」のではなく、
最初から”見ていない”のです。
💬 「見ない」とは何か
- 自分の経験にないものは、情報として脳に入らない
- 関心のないことは、目の前にあっても認識しない
- 自分の信念と矛盾するものは、無意識に排除する
これは、相手を責めるための話ではありません。
自分自身にも当てはまるのです。
私自身、現場で何度もこれを経験してきました。
🧠 選択理論から見た「バカの壁」
青木仁志氏の選択理論では、人は「外部コントロール」と「内部コントロール」という二つの考え方があると説いています。
⚠️ 外部コントロール
「相手を変えようとする」考え方
- 批判する
- 責める
- 脅す
- 罰する
✅ 内部コントロール
「自分ができることに集中する」考え方
- 聴く
- 支援する
- 励ます
- 信頼する
「バカの壁」は、まさに外部コントロールの限界を示しています。
いくら「正しく説明すれば分かるはずだ」と思っても、
相手が”見ていない”なら、伝わらない。
大切なのは、「壁がある前提」で関わることなのではないでしょうか。
💡 内部コントロールの視点
相手を変えようとするのではなく、
自分が「どう関わるか」を選ぶ。
相手の見えている世界を、
まずは「そういう世界もあるんだ」と受け止める。
これは、諦めることではありません。
むしろ、現実的な関わり方なのです。
🎬 アニメで考える「バカの壁」
このシリーズでは、アニメ作品を通して、
この「バカの壁」を、少し違う角度から眺めていきます。
なぜアニメなのか。
それは、アニメが「極端な状況」を描くことで、
現実では見えにくい「壁」を、くっきりと浮かび上がらせてくれるからです。
📺 取り上げる作品
第2回:PSYCHO-PASS(サイコパス)
「測れないものは、なかったことにされる」
シビュラシステムという完璧な管理社会で、
“測定できない正義” はどう扱われるのか。
第3回:魔女の旅々
「善意が踏み込めない場所がある」
旅する魔女イレイナが出会う、
“助けられない人々” との対話。
第4回:進撃の巨人
「正義が噛み合わない世界で、人はどう生きるのか」
壁の内と外で、まったく違う”正義”を持つ人々の物語。
この考え方は、他の作品でも見えてきます。
📺 参考書籍・配信情報
🎬 PSYCHO-PASS(サイコパス)
配信: U-NEXT、Amazonプライムビデオ、dアニメストア、Netflix など
※配信状況は変更される場合があります
🎬 魔女の旅々
配信: U-NEXT、Amazonプライムビデオ、dアニメストア、ABEMA など
※配信状況は変更される場合があります
🎬 進撃の巨人
配信: U-NEXT、Amazonプライムビデオ、dアニメストア、Netflix、Hulu など
※配信状況は変更される場合があります
🌟 まとめ
分かり合えないことを、すぐに失敗だと決めないために。
「バカの壁」は、誰にでもある。
自分にも、相手にも。
大切なのは、壁がある前提で、どう関わるか。
次回からは、アニメ作品を通して、
この問いをさらに深めていきます。



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